ヒロイン岡ひろみ!平凡な女子高生からいきなり選手に任命された苦悩

県立西高校の1年生で、ヒロインの岡ひろみ15歳は、親友のマキと一緒にお蝶夫人に憧れてテニス部に入部します。

県立西高校のテニス部は、「テニス王国」と呼ばれ、お蝶夫人やキャプテン、音羽京子と取り巻き3人がいつも試合の選手でした。今までのコーチが辞めてしまい、新任のコーチが来るまでは、女子、男子テニス部も独自のカリキュラムで練習をしてきました。

クラブが終われば、ひろみやマキは帰りに「何処へ食べに行こうか?」と寄り道するのが決まりでした。自宅に帰れば母親の作る夕飯があるのに、どういうわけか彼女たちは寄り道しては、外食の繰り返し。よくおこずかいがありましたね!

でもそれは激しいトレーニングの後の彼女たちのリラックスタイムでもありました。大勢のクラブ仲間とハンバーガーやうどん定食を食べに行くなど、10代の食べ盛りを象徴していました。

ひろみにして見れば、今が一番充実しているときでもありました。「いつもお蝶夫人の傍にいられるだけで幸せな私!」憧れのお蝶夫人は優しくしてくれるし、他の仲間たちとも上手くやれるし、ひろみにとってテニスはまだアクセサリーのようなものでした。

そんな時に新任のコーチがやってきました。彼の名前は宗方仁。庭球協会の推薦で県立西高校のコーチを引き受けることになりました。突然の鬼コーチの登場で、テニス部の雰囲気がガラリと変わりました。

宗方コーチの指揮はとても厳しく、ハードトレーニングをさせる毎日。ですから殆どの部員がもうヘトヘトになってしまう始末でした。

そして試合が近づいたある日、宗方コーチは部員全員を集めて、選手の名前を発表します。お蝶夫人、キャプテン、取り巻き3人、最後は音羽京子かと思ったら?何と宗方コーチはひろみに「岡、選手はお前だ。」と任命します。

耳を疑うひろみでしたが、急に周囲の態度が一変し、「あの子、きっとコーチに取り入って選手にしてもらったのよ!」と冷たい視線がひろみに突き刺さります。

ひろみはコーチに何度も断りに行きますが、ガンとしてコーチは選手の変更はしません。このことで音羽京子はひろみに対して、嫌がらせを始めるようになりました。

ひろみのロッカーに置いてあるくつにがびょうを入れたのです。そうとは知らずにくつをはいたひろみは、激しい痛みを感じ、がびょうがあったのを発見、思わぬことを思いつきます。

それはがびょうが刺さったから、大けがしたとして足に包帯をぐるぐる巻いてコーチに「試合には出られません。」と再度断ります。でもコーチは「どんなケガだ?傷口を見せてみろ。」と無理やり包帯をほどいてしまいます。

それでがびょうの小さな傷がたちまちばれてしまい、選手辞退には失敗しました。コーチからは厳しい特訓、そして周囲からは冷たい視線と噂話で、たちまちひろみのテニス部の居場所がなくなってしまいました。苦しむひろみです。

でもお蝶夫人から古いラケットをもらったり、藤堂さんの「ベストを尽くせばいいんじゃないかな。」の励ましで、ひろみは試合に出ることにします。

しかし、初試合に出てみたものの、ひろみは緊張して上手くいかず、けいれんを起こして試合を棄権となりました。

初試合では藤堂さんに励まされたように、ベストを尽くすつもりでいましたが、やはり1年生のひろみには試合に出ることはかなり重荷になりました。ですが宗方コーチはその後も容赦なくひろみを選手に任命し続けます。

先輩たちのひろみに対する風当たりはますます強くなり、段々ひろみはテニス部に居ずらさを感じるようになりました。

只ひろみを待っているのは、宗方コーチの厳しい特訓の日々でした。